令和7年3月31日付けで、航空局標準マニュアルが改正されました。以前のマニュアルは「令和4年12月5日版」だったので、約2年3ヶ月振りの改正になりますね。
今回の改正されたマニュアルのうち、主要な二つ(航空局標準マニュアル01、航空局標準マニュアル02)について改正点を解説していきます。
なお、今回の改正マニュアルには新旧比較表はありませんが、本マニュアル内において下線が引かれた箇所が前回版からの改正箇所となっていますので、差異がすぐに分かると思います。
改正版マニュアル本文については、以下をクリックしてください。
・航空局標準マニュアル01
・航空局標準マニュアル02
事業者さまの皆さまで独自マニュアルを作成している方は、今回の改正内容を取り込んで修正した方がいいかなと思っております。
目次
航空局標準マニュアル01(場所を特定したもの)
[空港等周辺・150m以上・DID・夜間・目視外・30m・催し・危険物・物件投下]
目視外飛行の操縦練習における「補助者あり」と「補助者なし」の二つに細分化
- 補助者あり:前回版と同じ
- 補助者なし:新しく追加。上記の「補助者あり」の練習に加えて、以下を追加。
「遠隔からの異常状態の把握、状況に応じた適切な判断及びこれに基づく操作等に関し、座学・実技による教育訓練を少なくとも10時間以上受ける。」
風速制限条件の緩和
前回版では、「風速5m/s以上では飛行中止」としていたものを、以下の条件付きで緩和。
「ただし、5m/s以上の突風で飛行可能であることを、製造者等が定める取扱説明書 等にて確認している場合は、その条件による。」
物件の吊り下げ・曳航条件の緩和
- 前回版では、 「物件のつり下げ又は曳航は行わない」としていたものを、以下の条件付きで緩和。
「物件のつり下げ又は曳航は行う場合は、飛行距離及び高度の限界値を設定して 不必要な飛行を行わないようにし、突風や電波障害等の不測の事態を考慮して当 該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。」
飛行許可書の原本等の携行の緩和
- 前回版では、「飛行の際には、無人航空機を飛行させる者は許可書又は承認書の原本又は写し を携行する。」だけであったが、以下のように電子データでも代用可に緩和。
「なお、電子データの携帯でも可とする。」
※本記載については、従来から、「国土交通省ウェブサイト【飛行許可承認/事故等報告】よくある質問」において、
「電子許可書の場合は、印刷した「鑑文書」及び「許可書」(別紙がある場合には別紙も含む)を携行するか、または zipファイルに保存されたデータそのものを電子的に携行してください。」と回答がなされているので、その延長線での記載ですね。
第三者立入があった際の中止措置の追加
- 前回版では、「第三者の上空では飛行させない。」だけであったが、第三者立入があった場合の措置を追加。
「万が一、飛行範囲への第三者の立入があった際は、飛行の中止等の措置を行う。」
降雨条件の緩和
- 前回版では、「雨の場合や雨になりそうな場合は飛行させない。」であったが、以下の条件付きで緩和。
「ただし、雨でも飛行可能で あることを、製造者等が定める取扱説明書等にて確認している場合はその限りで はない。」
第三者の往来が多い場所等での飛行時の安全確保を新設
- 第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多 数の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。
ただし、当該施設上空の 飛行が必要な場合は、飛行経路を当該施設内に限定した上で、一定の広さのある 場所を飛行させる等、当該施設の管理者等と安全を確保するために必要な体制に ついて調整を行ったのちに飛行する。
また、経路下における第三者の立ち入りに ついて制限を行い、第三者の立ち入り等が生じた場合は、速やかに飛行を中止す るほか、突風などを考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を 予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。
道路上空・鉄道上・水上での飛行時の安全確保を新設
- 高速道路、交通量が多い一般道やその付近では飛行させない。
- 一般道上空を飛行する場合は、車両及び歩行者の通行がないことを確認でき た場合のみとし、万が一車両又は歩行者が飛行範囲に接近又は進入した場合には 直ちに飛行を中止する措置をとる。
- 鉄道上を飛行する場合はその管理者等と調整し、その指示に従い安全が確認 できた場合のみとする。万が一車両又は歩行者が飛行範囲に接近又は進入した場 合には直ちに飛行を中止する措置をとる。
- 水上を飛行する場合は、船舶及び遊泳者等の進入が無いことを確認できた場 – 5 – 合のみとし、万が一船舶又は遊泳者等が飛行範囲に接近又は進入した場合には直 ちに飛行を中止する等の措置をとる。
催し場所の上空飛行での緩和及び禁止項目の追加
- 前回版では、「飛行させる無人航空機について、プロペラガードを装備して飛行させる。」でしたが、以下の条件付きで緩和。
「装備できない場合は、第三者が飛行経路下に入らないように監視及び注意喚起を する補助者を必ず配置し、万が一第三者が飛行経路下に接近又は進入した場合 は操縦者に適切に助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置をとる。」 - また、催し場所の上空飛行では、「危険物の輸送又は物件の投下は行わない。」を追加。
夜間飛行の安全対策強化
- 以下の項目を安全対策強化として追加。
「日中、飛行させようとする経路及びその周辺の障害物件等を事前に確認し、適切な飛行経路を選定する。」
非常時の連絡体制の情報提供先の追加
- 情報提供先として、「国土交通省ホームページに掲載されている別表:無人航空機による事故等の情報提供先一覧」を追加。
航空局標準マニュアル02(場所を特定しないもの)
[DID・夜間・目視外・30m・危険物・物件投下]
- 基本的に、「航空局標準マニュアル01」で改正された同様の内容を改正しております。