「賃上げ促進税制」の上乗せ要件(教育訓練費)をご存知ですか?

はじめに

 大・中小企業向けの「賃上げ促進税制」が、令和4年4月1日から適用開始されておりますが、令和6年4月1日からさらに強化されているのをご存知ですか?
 また、この「賃上げ促進税制」には、教育訓練費を増加させるとさらに上乗せ要件があり加算されるのをご存知ですか?
今回は、この教育訓練費による上乗せ要件をメインに、「賃上げ促進税制」を解説していきます!!

<目次>
1.「賃上げ促進税制」とは?
2.教育訓練費の具体的な対象は?
3.おわりに

1.「賃上げ促進税制」とは?

「賃上げ促進税制」とは、企業が、前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税から税額控除できる制度です。

<改正後の賃上げ促進税制の適用期間>
令和6年4月1日~令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度(個人事業主は令和7年から令和9年までの各年)

<企業類別とその適用率>
【大・中堅企業】「全雇用者の給与等支給額の増加額」の最大35%を税額控除※ 1
【中小企業】 「全雇用者の給与等支給額の増加額」の最大45%を税額控除※ 1

※1:税額控除額の計算は、全雇用者の前事業年度から適用事業年度の給与等支給額の増加額に税額控除率を乗じて計算。ただし、控除上限額は法人税額等の20%。

具体的な賃上げ増加率に対する税額控除率については、以下の通りとなっております。
【全企業向け】

継続雇用者の給与支払額(前年度比)税額控除率
+3%10%
+4%15%
+5%(新設)20%
+7%(新設)25%

【中堅企業向け(新設)】:記載省略

【中小企業向け】

継続雇用者の給与支払額(前年度比)税額控除率
+3%10%
+4%25%

これに上乗せ要件①として、教育訓練費※2を前年度比で、ある一定率以上増加させると、以下のような上乗せがあります。
【全企業向け】 前年度比+10%以上増加 ⇒ 税額控除率:5%上乗せ
【中堅企業向け(新設)】:記載省略
【中小企業向け】前年度比+5%以上増加 ⇒ 税額控除率:10%上乗せ

※2 教育訓練費の上乗せ要件は、適用事業年度の教育訓練費の額が適用事業年度の全雇用者に対する給与等支給額の0.05%以上である場合に限り、適用可能。

<具体的な算定例(単純化しているのであくまで概算とお考え下さい)>

〇中小企業:適用業年度の給与支払総額(5200万円) 前事業年度の給与支払総額(5000万円)
【判定】(5200万円-5000万円)÷5000万円=4%≧4% 〇 ⇒ 税額控除率25%
  (5200万円-5000万円)×25%=50万円が控除

〇上記ケースで上乗せ要件①を追加した場合のトータルの税額控除
 ・適用事業年度の教育訓練費(110万円) 前事業年度の教育訓練費(100万円)
【判定】(110万円-100万円)÷100万円=10%≧5% 〇 ⇒ 税額控除率+10%
  (5200万円-5000万円)×(25%+10%)=70万円が控除

 現在、かなりの企業さまで賃金増加させているようなので、この教育訓練費を前年比で増加させることにより、この上乗せ要件①も使えるのではないでしょうか。
 教育訓練費を増加させることにより、従業員さまへの技能向上が図れしかも税額控除もあるといった、一石二鳥というものではないかと考えております。

なお、ここでは割愛させていただきますが、他の上乗せ要件②(新設)「子育てとの両立・女性活躍支援」があり、これを入れると、合計で最大35%、45%の税額控除率となっております。

2.教育訓練費の具体的な対象は?

教育訓練費の対象については、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用のうち一定のものをいいます。
 具体的には、以下の通りとなっております。
なお、詳細については、中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック(中小企業庁)のP9~11に記載されております。

<教育訓練の対象者>
 法人又は個人の国内雇用者
 したがって、以下の者は国内雇用者ではないため対象外となります。
(1)当該法人の役員又は個人事業主
(2)使用人兼務役員
(3)当該法人の役員又は個人事業主の特殊関係者(①役員の親族、②事実上婚姻関係と同様の事情にある者、③役員から生計の支援を受けている者、④ ②又は③と生計を一にする親族)
(4)内定者等の入社予定者

<対象となる教育訓練費の範囲>
(1)法人等が教育訓練等を自ら行う場合の費用(外部講師謝金等、外部施設使用料等)
① 法人等がその国内雇用者に対して、外部から講師又は指導員(以下「外部講師等」)を招聘し、講義・指導等の教育訓練等を自ら行う費用であること。
② 外部講師等に対して支払う報酬、料金、謝金その他これらに類する費用であること。
③ 法人等がその国内雇用者に対して、施設、設備その他資産(以下「施設等」)を賃借又は使用して、教育訓練等を自ら行う費用であること。
④ 施設・備品・コンテンツ等の賃借又は使用に要する費用であること。
⑤ 教育訓練等に関する計画又は内容の作成について、外部の専門知識を有する者に委託する費用であること。

(2)他の者に委託して当該国内雇用者に対して教育訓練等を行わせる場合の費用(研修委託費)
① 法人等がその国内雇用者の職務に必要な技術・知識の習得又は向上のため、他の者に委託して教育訓練等を行わせる費用であること。
② 教育訓練等のために他の者に対して支払う費用(講師の人件費、施設使用料等の委託費用)であること。

(3)他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の費用(外部研修参加費)
① 法人等がその国内雇用者の職務に必要な技術・知識の習得又は向上のため、他の者が行う教育訓練等に当該国内雇用者を参加させる費用であること。
② 他の者が行う教育訓練等に対する対価として当該他の者に支払う授業料、受講料、受験手数料その他の費用であること。

⇒この(3)に当たるものが、KandenDOTsで実施しているドローン講習会が該当すると考えております。

3.おわりに

皆さん、いかがでしたでしょうか。
 賃上げされた企業さまにおかれましては、是非、この機会に、KandenDOTsのドローン講習会をご利用いただき、教育訓練費増加による税額控除の上乗せ要件をご活用ください

本制度の詳細解説については、以下の中小企業庁の資料をご確認下さい。
令和6年度税制改正「賃上げ促進税制」についてのパンフレット(暫定版)
中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック

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